第23章 21歳組飲み会(4)
21歳組が飲んでるだけ。犬飼出ません。
「今度のB級ランク戦で嵐山と犬飼が解説に入るらしいよ」
「犬飼くんが解説……」
「嵐山もいるぞー」
「素敵」
「話聞いて」
「聞きたい!どうしたら聞けるかな」
「観覧席に行って聞くしかないじゃん」
「それはわかってるけど、そうじゃなくて!エンジニアが観覧席なんて行かないじゃない」
「行けば」
「いや、気まずい。何でエンジニアがいるの?ってなるでしょ」
「まあ目立つだろうけど」
「ううううう」
葉瑠が机に突っ伏したので、寺島はグラスに口を付けた。ログでランク戦をチェックしている葉瑠は、普段解説を聞くことがない。
「オペの武富が全試合の解説の音声記録を持ってるって噂だぜ」
「私は、武富ちゃんとコンタクト取れるような仲じゃないよ。立方体は取れる?」
「いや、俺もそこまで関わりない……ってめえ!」
かつてトリオンキューブになった諏訪は、いまだ立方体の名を欲しいままにしていた。望んだことは、一度もない。
「C級隊員の格好で入り込めばいいんじゃないか?」
「レイジ、お前大胆なこと言うな」
「いい方法だと思うんだけど、バレたらヤバい。万が一、犬飼くんにバレたら恥ずかしすぎる」
やっぱりだめだぁー。でも聞きたいよう。葉瑠がブツブツ言っていると、凛とした声が部屋に響いた。
「葉瑠!ウジウジするな。よく考えて、行動に移せ!」
「風間?」
「かつて二宮は頭を下げて出水に合成弾を教えてもらった。三雲は最近、木虎に頭を下げてスパイダーを教えてもらった」
「え?それが何?」
「お前が三雲の件を知ってるのは設定に無理がないか?」
「黙れ。葉瑠は先日の俺の解説を聞きには来なかったな。それより大事な犬飼の解説だろう。手段を選ぶな。真っ正面から突破しろ!」
「そりゃあ、彼氏の解説だからな」
「最後矛盾してない?」
「……何かいい方法があるの?」
「二宮だ」
「……まさか」
「二階観覧席も解説は聞ける。あそこにいるのは二宮とそこの隊員、出水くらいだ。二宮に頭を下げて、入れてもらえ!」
「……やるしかない!がんばります!」
「やるんだ……」
後日
二宮に頭下げて無事解説聞けて満足。二宮は内心引いてた。辻ちゃんとは充分な距離を取りました。