第21章 冬島隊室にて
「よう。ちょっと付き合ってくれや」
「冬島さん?」
敵の襲撃が近いから冬島さんはトラップの準備で大忙しだ手伝ってくれ。
なんとまあ、この前大規模侵攻があったばかりなのに、またか。雷蔵には断りなく来てしまったので、あとで連絡いれとこう。彼は彼で、最近エネドラッドのところにいることが長いし、問題無いだろう。
カタカタカタカタ
「なあ葉瑠」
「はい。何ですか?」
お互い液晶画面に顔を向けたまま話し始める。
「おまえ、この前の大規模侵攻のとき、プ○キュアに変身したんだって?」
!?
「何で知ってるんですか!!!」
「俺は元エンジニアだぜ?そっちの話題は聞いてるっての」
「ええええー……。口止めしたのにぃ」
冬島さんはニヤニヤとこちらを見ている。
あの時、トリオンキューブになった諏訪を元に戻すため、解析グループの一員として研究室にいた。そこへ、黒トリガー使いが本部へ侵入し、こちらへ向かってくると通信があった。
「時任!念のため戦闘用のトリガーで換装して迎撃態勢を取れ!」
「あとは俺たちに任せておけ!もうすぐ諏訪も戻るぞ。もし黒トリガーが来たら時間稼ぎを頼む」
「時任了解しました!」
トリガーオン
ひらりと揺れる膝上丈のスカート、華やかな色合いと装飾、髪の色も鮮やか!?
「なっ!?」
「よっしゃー!!」
「プリ○ュア成功です」
「写真だ!」
「だめだめだめっ!」
……
思い出してしまった。あれは○リキュアだった。
「あのですね。勝手にトリガーいじられてたんです」
「だろうなあ。災難だったな」
驚きすぎて、何のために換装したのか数秒忘れてしまった。緊急時にあるまじき、である。
「慌てて弧月出したら、ちゃんと出てきたので安心しました……」
冬島さんはゲラゲラ笑っている。
「まあ結局、黒トリガーが来る前に逃げれたから良かったんですけどね。諏訪もあのどさくさで見てなかったと思うし、写真も撮らせなかったので」
「ああ~ (甘えな葉瑠は。エンジニアの先輩をなめちゃいけねえよ。あいつらがシャッター音無しの見た目がボールペンみたいなカメラを用意してないわけがない。実際、俺のとこにも写真回ってきてるってのは、流石に言えないか。まあ、犬飼のとこに写真がいくのも時間の問題だろうな) 良かったな」