第14章 21歳組飲み会(3)
21歳組が飲んでるだけ。犬飼出ません。
「そういえば、犬飼と10本勝負したんだって?」
諏訪が葉瑠に話しかける。
「4:6で負けた」
「4本も取れたのか!?ブランクあるのに、やるじゃねーか!」
「いやー?私は犬飼くんのランク戦見てるから、戦い方もトリガー構成も知ってるんだよ。でも、向こうは何も知らないでしょ?実質2:8かな」
それを聞いた寺島が口角を上げた。
「それでも2本は取れる気でいるんだ」
「うーん、そこは取りたい。ステージも市街地Aだったし。取れると思いたい」
「しかし、恋人同士で遠慮は無いのか?」
木崎が不思議そうに言う。
「そこは遠慮しませんー。多分、犬飼くんも遠慮無かったし (先に胸に穴開けにきたのは彼だし)」
「お前らなら、無さそうだ」
諏訪がタバコを咥えてニヤリとした。すると、それまで無言だった風間が言った。
「葉瑠、俺とも勝負しろ」
「ええええやめてよ、10本瞬殺でしょうよお」
「犬飼とばかり、ずるいぞ」
「今回だけだよお。何故かたまたまそうなっただけでえ……」
「ずるい。俺も葉瑠がいい」
「えー」
「俺じゃだめか」
「うー」
「葉瑠が弧月を構えて、俺を見ているときの目が好きだ」
「真っ直ぐ、諦めない姿勢も俺を熱くさせる」
「……おいおい、なんか女口説いてるようにも聞こえるんだが」
「それか、ちっともクールじゃない、戦闘馬鹿」
諏訪が口をひきつらせた。寺島は半目だ。
「仕方がない。ポストと戦ってくるか」
「は?」
「うん。風間にはポストがいいと思うー」
「そうか、あれほどの好敵手もいない」
すっくと立ち、外へ向かう風間を、木崎が慌てて追いかけていった。
「ただの酔っぱらいだったか。一瞬ハラハラしたぜ」
諏訪がふーっと息をついた。対して、寺島は眉を寄せる。でも、あんな風間は葉瑠が関わるときにしか見ないんだよな。
まあ、酔っぱらいなのは間違いないが。
もうひとりの酔っぱらい、葉瑠を見ると、顔を突っ伏して寝ていた。全く困ったものだ。俺たち相手に安心しているんだろう。20分くらい寝たらすっきり起きるのも知っている。でも、もう少し警戒心を持てなよな。とりあえず、犬飼には言わないでおくよ。
今日も夜は更けていく。