第13章 命残さむ
「はい、葉瑠。これ」
「なあに?んん?……このトリガー、私がアタッカーのときのセット構成じゃん」
雷蔵が渡してきたのは、戦闘員用トリガー。
「ありがとうございます!」
隣で犬飼くんがお礼を言っている。どういうこと?
「葉瑠、今日はもう仕事ないからあがって。それで、犬飼の訓練に付き合うこと」
ニヤニヤと笑った雷蔵は胡散臭い。
「えー?どういうこ「じゃあ、葉瑠さん借ります。行こう」」
犬飼くんに手を引かれて開発室を出る。向かう先は、二宮隊の隊室。
「急でびっくりしたと思うけど、訓練付き合ってよ。今日はうちの隊、みんな用事があって俺以外来れないんだ。そしたら寺島さんが葉瑠さんと訓練しなよって言うからさ。こんなチャンス、なかなか無いし」
「……まあいいけど。私じゃ、相手にならないんじゃないかな」
「そんなことないよ」
そうか。上司の許可は下りているし、訓練相手も問題無いと言う。それならば、
「トリガーオン」
私自身、楽しみになってきた。犬飼くんの相手ができるなんて、思ってもみなかった。かつての癖で弧月を出す。鞘に手をかけると、しっくり馴染む感覚がした。
「うわー!アタッカー葉瑠さんだ!見てみたかったんだよねー」
犬飼くんは、目をキラキラさせてこちらを見ていた。
訓練室を仮想戦闘モードに設定。部屋の真ん中に私が立ち、その周りに人型の的。犬飼くんは、その全ての的を撃ち抜いていった。私は傷一つ無い。
「やっぱり、すごいね!」
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