第9章 少しずつ、幸せを
結婚式 宴会
その日は夕方から宴会が始まり、夜が来ても終わることはなかった。
火影屋敷の前に宴会場が設営されて、そこで豪勢な食事がふるまわれている。
各一族や、里の民たちがみんな楽しそうに騒いでいる。
昔、“もし”と考えていた景色が目の前に広がっている。
隣には愛しい人がいて、周りには自分を知ってくれる親しい人たちがいる。
ここにヒカクさんがいれば…なんて思ってしまう。
“もし”もの事なんてすべてが叶うわけではない。
時の流れと、自分の道があるのだから。
ならば今を楽しんで、幸せに過ごせればいいんじゃないかと思う。
それが、生きるという事だと思うから。
別れを悲しみ、愛を育み、喜びを共有し、怒りをぶつけ合い、喧嘩をして中を深めたり、幸せを感じる。
人生とは決められたレールを進み、その所々で多くの事を学ぶ。
それは時に良いことであったり悪い事、残酷な事であったりもする。
けれどそれが人を形成し、強くさせるのだと私は思った。
月下に潜む我ら忍は、己を偽り、耐え忍び、強く生きなければならない。
けれど、支えてくれる、想ってくれる、側に居てくれる、守らせてくれる、守ってくれる。
そんな人々がいるのだから酷でも続ける事が出来る。
我らは忍は忍び耐え、己を見失わない強き人である。