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さくら

第8章 瞳



 その日の夜、静まる夜の月下で、庭に植えた桜を寝室の障子から見ながら思いに浸っていた。


 柱間さんはきっと天性の人たらしなんだろう。

 前にマダラ様もそう言っていた。

 けれど反対的にマダラ様は人を寄せ付けないし、自分から歩み寄ることはしない。

 天性の悪人面かもしれない。

 柱間さんとは真逆の存在。

 けど実際は寂しがり屋で、可愛いところもあって、愛情深くて、弟想いな、とても優しい人。


 柱間さんばかり人気で優しいなんて話だけど、マダラ様の良さを知れば並ぶくらいに人気が出るに違いない。



 そんな方と結婚をして、これからの人生を共にする。
 
 幸せで、うれしくて、自分の人生なのかを疑ってしまう。

 ずっと父の下で自由を阻まれ、偽りを強いられて、幸せなんて自分にはないと思っていた。

  愛とは無縁で生きていくのだと。

  ヒカクさんはそんな私を優しく包んでくれた。

 マダラ様はそれを打ち破ってくれた、自由を教えてくれた。

 どちらがかなんて言えないけど、愛を授けてくれた。

 本人は、友であったヒカクさんに預けられたからと言っていたけれど、それでも嬉しかったんだ。



雪華「…」



 部屋の窓から見える月はとても綺麗。


 今日の終いに、恩人へ就寝の挨拶をしてから、隣ですやすやと眠っている愛しい人にキスをする。


 そして自分も布団に潜り込み、マダラ様の手を握って眠りにつく。
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