第5章 開花
今日は千住との戦がある。
朝日は登り切って、目の前に広がっている景色は私の背筋を伸びさせた。
いつも通り無骨な甲冑を身にまとい、顔つきを整え、目つきをきつくする。
隣にいるマダラ様の恥とはならないように。
千手一族とうちは一族が川を挟んでにらみ合う。
両一族の真ん中には長が威厳を示す姿勢、目つきで互いを牽制しあっている。
私は今回もマダラ様の側でサポートに徹する。
いつも通りで、懐かしさも感じる。
風遁で火遁の底上げと、疑似医療忍術と瞳術での治療、それからもしもの時の指揮系統を任せられた。
千手柱間と対峙するときのマダラ様はいつにもなく楽しそうだ。
しかし、時たまにとても切なそうな辛そうな、どこか悲しさを感じさせる顔をしていた。
それはマダラ様だけではなく相手の千手柱間も同様だった。
あの話を聞いていて、私もどこか心持は重かった。
私は幾度となくこの二人の戦闘を近くで見ていた。
私の中では娯楽と言えないが楽しみでもあった。
戦闘一族である我らうちはの長と、忍界の神と謳われる千手の長との一騎打ちはいつ見ても飽きさせることがない。
地形を変えてしまうほどの争いが続いく。
私とマダラ様は二人して万華鏡写輪眼を保有している。
私は永遠の写輪眼であるがマダラ様は今だ、ご自分の目で戦っている。
この戦乱の世であるから消耗は激しいはず。
最近の日常生活では年老いた老人の様に目を細めるときが多少あるのだ。
だから私が目となって、腕となり足となり。
いずれ来るその時を待つ。
マダラ様が一声目を寄こせと言われればいつでも移植は出来る。