第16章 倫理教師 悲鳴嶼行冥
「であるからして、モンテスキューは…」
設置されている黒板よりも大きい背丈。
体格は倫理教師とは思えないほどがっしりしており、常に首から大きな数珠をぶら下げている。
ーはぁ…顔が良いな…
私は板書をとる手を止めて、うっとりと倫理教師である悲鳴嶼先生の顔を見た。
すっと通った鼻筋に完璧な配置をされたパーツたち。
ガタイとは反した端正な顔立ちが清楚さというか爽やかさを生み出している。
「ということだが、綾川、話は聞いていたか?」
「はっ、はい…」
悲鳴嶼先生は私をじっと見据えるような視線を送る。
ー悲鳴嶼先生は目が見えてないはずなのに…
こんな調子の悲鳴嶼先生だから本当は目が見えてるんじゃないかとか色々言われてる。
でも悲鳴嶼先生は本当に優しい先生。
仏様なんじゃないかなって私は思っている。