第15章 体育教師 冨岡義勇 錆兎
「おい綾川!お前は何度言ったら分かるんだ」
古典の教科書の裏って色見本みたいなのついてるじゃん。
私あれ結構好きでよく見るんだけど、錆兎先生は獅子色の髪の毛だな…
「聞いているのか」
バシン!
静かな声音と共に竹刀でテーブルを叩いた音が生徒指導室に響く。
普通の子ならびっくりして凄んじゃうんだろうけど、私は常連だから慣れっ子だ。
「染色、ピアス、スカートの丈を直せ、今ここでだ」
冨岡先生は竹刀の先を私を指さすかのように向けてくる。
ーどうせ後でつけるし…
「はぁい」
私は気の抜けた返事をして、ピアスを両耳から外し、スカートのポケットに突っ込み、立ち上がってスカートの丈を膝下に伸ばした。