第14章 【炎柱】煉獄杏寿郎
私はびっくりした。
私の花が刺繍された手ぬぐいを自分の魔羅にあてがって、息を荒らげながら帰ったはずだと思っていた杏寿郎が自慰行為に耽っている。
手ぬぐいには杏寿郎の液が染みこんでおり、そこだけ変色している。
「あ…え…?」
「すまない、沙織」
こうも真っ直ぐ見据えられて謝られたら余計に何も言えなくなる。
私が立ちすくんでいると、杏寿郎は魔羅を隊服の中にしまって、立ち上がった。
「君も任務後で疲れているだろう?邪魔してすまないな」
杏寿郎は笑った。
ー違う、そうじゃないの
その笑顔は今にも泣きそうな、そんな感じだった。
ここで何も言わなかったら私たちの関係は悪くなる一方だ。
杏寿郎が私の横を通り過ぎようとした瞬間、私は杏寿郎の手首を掴んだ。
「あの…そ、それ…そのままじゃ苦しいでしょ」
杏寿郎は目を丸くした。
しかし、その数秒後、ふっと目を細めて笑う。
「…あぁ、君がどうにかしてくれるのか?」
恥ずかしさで消えてしまいたい。
でも、杏寿郎のためなら…
「うん…そこ、座って…」