第14章 【炎柱】煉獄杏寿郎
煉獄杏寿郎はまだあの藤の家にいた。
今日中に帰ると千寿郎に伝えてしまったものの、やはり恋人の帰りを待ちたくなってしまったのだ。
昨日は抱擁を求めたら拒まれたし…
一応、いつでも任務が入れば動けるように隊服を着ているが、ソワソワしてそれどころではない。
ー普段から照れ屋さんではあるが、断れると辛いものがある…
昨日の仕打ちに部屋に行って待ち伏せでもしといてやろう、そうじゃないと割に合わない。
そう考えた杏寿郎は沙織の部屋の襖を開けた。
綺麗に畳まれた布団と寝間着。
そして、いつも持ち歩いているのか、手ぬぐいが置かれていた。
杏寿郎は部屋の中央にどっかりと座り、その手ぬぐいを拾い上げる。