第9章 宇髄天元➕煉獄杏寿朗
ーま、まさか宇煉だったなんて…
私は大きくため息をついて、キャンバスに筆をはしらせる。
翌日になってもあのときの記憶は鮮明に残っていて、今は宇髄先生はいないが、戻ってきたら全く顔が見れそうにない。
「う、れん…?なんだぁ、それ!」
横にいた伊之助が私のキャンバスを覗き込む。
すると、私は無意識にキャンバスにうれん、とひらがなで描いていたのだ。
「ぎゃあああ!これはあれ、あれだよ!憂む!憂いそうだな〜っていう!」
「古典か!わからん!」
フガフガと鼻息をたてて伊之助は自分のキャンバスにほぼ筆を打ち付けるようにして絵を描きはじめた。