第9章 宇髄天元➕煉獄杏寿朗
「ん?あれ、ハンカチがない」
体育から戻ってきて、制服のスカートのポケットに手を突っ込んでみると、なにも入っていなかった。
「どこかに落とした?」
カナヲは辺りを見渡してくれるが、なにも落ちてはいなかった。
「体育の前って…美術だっけ?」
「うん」
今日の美術は絵の具を自分の手に塗って、それで絵を描くといったことをしており、美術室に備え付けの水道で手を洗って、ハンカチで拭いた。
そこからのハンカチを持っているはずの自分の記憶はない。
「あ〜…美術室かも」
そんな気がしてきて、私は大きくため息をついた。
今は放課後だから、少しのぞいてハンカチを取りに行くことは造作もないだろう。
「ごめん、カナヲ、教室で待ってて!」
私はカナヲにそう言って、美術室へと走り出した。