貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「俺、そんなに未練がましくないけど。」
(え?)
「あのさ、乃々ことは、今はもう医学を通じた同士みたいなもんだから。あんたが思うような感情はないよ。」
「そ……それじゃあ……。」
家康さんの気持ちを聞いて、霧が晴れたように、目の前が明るくなった。
好きな人の言葉で、世界が一瞬で違って見える。
「特別な相手じゃなきゃ、あんな贈り物しないでしょ?」
(信玄様と同じこと言って……)
潤んだ瞳で家康さんを見上げると……
「–––もう、限界だ」
「限界って…もしかして、ケガが痛いんですか!?」
「ケガどころの騒ぎじゃないよ。どうしてくれんの」