貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「あー……もう」
(い、家康さん……?)
私をやんわり抱きしめながら、家康さんが深くため息をつく。
「目が覚めて、あんたが居なくて。……もう、会えないかと思った。今度、勝手にどっか行ったりしたら、許さない。」
もどかしげで少し熱を帯びた声が、耳元でひどく甘く響いた。
「っ……はい。」
喉が熱くなって、とっさに家康さんの胸に額を押しつける。
(もう…絶対、離れない……っ)
宥めるように優しく髪を撫でられて、堰を切ったように流れる涙が、家康さんの胸に吸われ、着物を濡らしていく。