貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
家康さんが抱きしめていた腕の力を抜くと、そっと私を引き離した。
翠色の瞳を真っ直ぐに向けられると、私の耳元の髪を優しくかきあげる。
触れた指先に心臓がどくっとさらに跳ねあがった。
「これ、付けてるんだ。」
家康さんの人差し指が耳飾りを揺らす。
「はい……。家康さんがくれた…大切なものだから。」
「っ……。」
美しい翠色を見つめ返して笑顔で答えると、家康さんは苦しげに顔を歪め、
(あ……っ)
再び私の身体を、両腕でぎゅっと、抱きしめた。