貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「…あれ……?なんで……?なみ……だ……」
自分の意図しない涙に戸惑い、懸命に拭うけれど、次々と溢れでる涙が頰を濡らす。
すると、信玄様の大きな手が私の頭を優しく撫でた。
「あいつのこと、そんなに好きなんだな。」
信玄様の言う通り、いつの間にか家康さんへの想いが、こんなにも大きくなっていたのか。
やり場の無い思いが涙に変わってゆく。
「……ったく。うちの可愛い姫君を泣かすとは……やはり家康とは、一戦、交えた方がいいか。」
「……っ!そ、それは……だ…めですっ……!」
ゾッとするような言葉に驚いて、ぱっと信玄様を見上げると、私と同じ赤銅色の瞳と目があった