貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「冗談だよ。」
「こ、こんな時に、変な冗談やめて下さい。」
(……冗談に聞こえない口調だったけど。)
「でも、涙は止まったろ?」
信玄様は面白そうに笑ってるけど、その目が笑っていないように見えるのは気のせいか……。
「………。」
(半分、本気に聞こえた……。)
「冗談はさておき、これからどうしたものか……。俺の愛おしい姫君は、安土に行ったままだしなぁ。」
膝に片肘をついて頬杖をつく信玄様。
チラリと私を横目で見ると、寂しそうにボソリと呟いた。
その意味ありげな視線が気まずい……。