貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「なんだ、違うのか?俺はてっきり、好いた奴のことでも考えてるのかと思ったが?」
揶揄うように笑うと私の隣に腰を下ろし、信玄様はお饅頭を頬張った。
そして、お皿から一つ取ると、私に差し出す。
「ほら、食ってみろ。悩んだ時は、甘い物に限るぞ。」
「……信玄様は、いつも食べてるじゃないですか。」
「はは。確かに。」
差し出されたお饅頭を受け取ると、少し躊躇ってから一口、齧った。
餡子の甘さが口の中に広がり、その甘さにほっとする。
(甘い……)
すると……不意に一筋の涙が、頰を伝った。