貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
「烈。何にしてるんだ?」
耳飾りを見つめていると、不意に背後から声を掛けられ、慌てて振り向く。
「信玄様。」
「そんなところで、ぼんやりして。」
「別に……。」
「恋煩いか?」
片手にお饅頭を乗せたお皿を持って、悪戯な笑顔を私に向けた。
身内といえども、その色気ある笑顔に思わず身惚れてしまいそうになる。
「恋……だなんて……そんな……」
恋という言葉に、しろどもどろで答えると、信玄様が意地悪そうに私の顔を覗き込んだ。