貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第16章 離れない、離さない
(……家康さん、元気になったんだ。良かった……)
信玄様の元へ返されてから十日ほど経ち、私は躑躅ヶ崎館の縁側で、乃々さんから送られてきた文を読んでいた。
文には、家康さんの意識が戻り怪我から順調に回復している、と書いてある。
それを読んで、心の底から安心した。
本当は……、家康さんが元気になるまで側にいたかった。
でも、この文を読めば、やはり乃々さんに行ってもらって良かった、と思えた。
文を畳んで袷にしまうと、懐から小さな布包みを取り出して、布をそっと開く。
手のひらで陽の光を浴びた耳飾りが輝いた。