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貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜

第15章 好きだから




(家康さんは何度も何度も殴られて蹴られて、袋叩きにされたらしいって、お医者さんが言ってた。敵はわざと殺さずに、意識がある状態で長時間痛めつけてたんだろうって。なんで、そんなひどいこと……っ)

泣いても仕方ないのに、涙が溢れて止まらない。

「家康さん……っ」

(お願いだから、目を開けて……!)

とめどなく溢れる涙の中で、自分の無力さが私の心を苛んでいく。
武芸の腕を磨いたところで何の力にもなれず、自分の身もまともに守れず……

(私なんかを守るために無理させてしまった……)

あの時……自分に向けて、頭目が振り下ろした刃。
自分が狙われても、その身に刃が襲いかかっても、その刃を振り払うことすらできない。

(私が居なければ……ここに居るのが乃々さんだったなら……)

現代の医学の知識もある乃々さんなら、家康さんを支えられる。
そんなことばかりが頭に浮かんで、私の心が軋む。

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