貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第13章 独りよがり
はぁ…
素直になれない自分に、ため息ついて机に突っ伏す。
伏せたまま視線だけ上げれば、机に置かれた小箱が目に入った。
(…………)
腕を伸ばして蓋を開けると、ころん、と七宝焼の耳飾りを机の転がった。
机に顔を横にしたまま、人差し指で耳飾りをころころ転がす。
(……私のために選んでくれたんだ…よね……)
再び机に伏せると、うーん、と考え込む。
私が来る前の家康さんと乃々さんの知らない時間。
それは、私にはどうしようもないことで……。二人の時間を変えられることはできない。