貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第11章 恋情
(家康さん……っ?)
振り返ると整った顔が間近にあって、思わず呼吸が止まる。
家康さんが私の身体をゆっくり起こす。
(あ……)
その丁寧で優しい仕草にスイッチが入ったように、胸がとくとく音を立て始める。
「ありがとうございます……」
私のお礼には答えず、家康さんはしゃがみ込む。
桶から溢れた水が私の袴の裾を濡らしていた。
家康さんが自分の懐から出した手拭いで濡れた袴を拭いてくれる。
「そ、そんな濡れてないですから!大丈夫です!」
慌てて止めようとするけど、家康さんは手を止めなかった。