貴方に出会うそのために〜イケメン戦国 徳川家康・上杉謙信〜
第10章 孤独感
「ふぅ……」
(やるじゃん。私。)
家康さんに指南してもらってから、弓の腕前は確実に上達している。
矢が当たった的を私は満足げに眺めた。
「何してるの?」
「?!」
突然、背後から掛けられた声に、ビクリと肩が上がる。
聞き覚えのあるその声に恐る恐る振り返る……と、やはりそこにいたのは家康さんだった。私を見る顔が厳しく見える。それが気のせいであって欲しいと願いながら、私は愛想笑いを浮かべた。
「あ、ど、道具のお手入れでもしようかな〜、なんて思って」
「……俺、なんて言ったか覚えてる?」
「……っ………」
苛立ちを滲ませた家康さんの言い様に、厳しい顔が気のせいではないことを思い知らされる。
頭をフル回転させて言った言い訳も虚しく、私は黙り込んだ。