第3章 .華と華の混沌
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ゾロ「...なぁ、アイツは何もんなんだ?」
の気配が完全に近くから消えた直後、ゾロは口を開いた。
にこやかだったおば様の表情は吸い取られたかのように無表情へと変わった。
それに気がついたゾロは"何かがある"と察し、攻めの姿勢に入った。
ゾロ「初めてあった時もそうだが、海賊の俺に全く恐れることが無い。それに.......悪いがアイツに一度刀を向けちまった。だが、アイツはそれに動じることもなかった。どう見ても俺には.....
......アイツがただの看板娘には見えねぇ」
ゾロの話を遮ることなく聞いていたおば様はさっきまでが座っていた椅子に腰を下ろした。
足を組み、裾から煙管を取り出し火をつけ一息つく。
おば様「ふぅ........お客さん、そういうもんは本人に直接聞くもんじゃないのかい?」
また煙管に口をつける。
おば様「何を警戒してるだかあたしには分かりゃしないけど、あの子は警戒しただけ無駄さ。そりゃ確かに文句や口先は一丁前なとこがある、だがやる事はやるし、そこらの奴よりかは優しい心の持ち主だとあたしは思うよ」
煙管を吸い始めたせいなのか、一人称が少し変わったせいなのか、今のおば様からは貫禄が漂ってくる。
ゾロ「その根拠は......?」
おば様「ハッハッハ!!根拠だってぇ?
そんなもんありはしないさ!女の勘ってやつだねぇ...」
煙管の火を消した。
おば様「あの子、少し幼さが残っているがお客さんと歳が近いんじゃないかい?」
優しくしてやってよ!と言い、奥へと消えていった。
ゾロは同様、おば様のことも気になったが思いに蓋をして無かったかのように平常心を保っていた。
煙管を裾から出した瞬間に見えた鉄製の"何か"。
ゾロ「あの店主......強ぇかもな」
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