第1章 .万華鏡
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白鯨の背に乗って、波の音を聞いた
今日は穏やかな波がたっている
暖かい日差しと気持ちのいいそよ風が
マストを押していた
マルコ「おい、いつまでそこにいるつもりだよい
今日は部屋片付けろって言ったはずだがねぃ?」
船首に座って前方を眺めてる妹、
に少し怒った口振りでマルコは声をかけた
以前よりも背と髪が伸び、
大人びた妹の姿に時の流れを感じる
髪が伸びうざったらしかったのか、
下ろしていたくせ毛は今高い位置に結われている
『今いい風が吹いてるんだよ
波も穏やかだし、日差しもちょうどい暖かさ、
こんな日に甲板へ行かなかったら
私は損だと思うけど?』
本当はただ片付けがめんどくさいだけだが、
マルコ相手にそのままを伝えてしまえば
こんな天気に雷が落ちてしまうだろう
そんなのは真っ平御免だ
口から溢れたでまかせに身を委ね、
ここであくびをひとつした
マルコ「ほんっと、生意気なガキになりやがって」
『もうガキじゃないってば、
この前誕生日に20になって成人を迎えたでしょ』
歳だけ考えれば大人なのよ
と言ってもマルコから見れば
ガキには変わりないのだろうけれど
マルコ「はぁ......気が済んだら部屋を片付けしに行けよぃ」
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