第1章 .万華鏡
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今日の気分は右だった
右目を筒に当てて別世界を覗き見る
ゆっくりゆっくり筒を右にまわし世界の形を変えていく
太陽の光が中の鏡に反射して
散りばめられたピースはきらきらと輝いている
その日によって見えるものは違えば、
見る者の感じ方もまた違う
そんな素敵な筒は"万華鏡(カレイドスコープ)"と呼ばれた子供の玩具
幼いときに何度も遊んだこの玩具は、
大人になった今と観点が違うことを教えてくれる
ただただきれいだと思ってたあの頃、
今感じ取っているものは十人十色、
みんな違ってみんないい、
そんな言葉を伝えてくれているようだった
ビスタ「また覗いているのか」
「今日は何が見えたのかな?」と声をかけてきたビスタ
額が少し汗ばんでいる様子から
ちょうど手合わせを終えてきたのだろう
『思ったことを否定しちゃいけない、
考え方はみんな違うって教えられた気がしたよ』
はビスタの意見も聞きたくて
筒をビスタに差し出した
『ビスタも覗いてみてよ!そして感想を聞かせて』
ビスタは筒を受け取るととは反対の目、
左目で別世界を覗き込んだ
ビスタ「うむ、
俺には全てが感情を表しているように見てとれた、
人が感じるものは他と違っていいものだ」
この間エースに覗いて貰ったときは綺麗だとか、
きらきらしてるとかといった感想しかかえってこなかった
でもそれもまたひとつの感想で
大切な考え方なのかもしれない
『......考え方...ね』
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