第9章 善意の横槍
零くんはもう起きてる頃だろう。とりあえず、良くも悪くも遺体を見ることが出来てしまい犯人逮捕に貢献できるかも、とメッセージを送信した。
するとすぐに電話がかかってきた。零くんからだ。先生の顔色を伺ってみると……
「……零くんです」
「出りゃいい。俺のことは気にするな」
との事なので、出る。
「……もしもしおは」
「っ!大丈夫なのか!?」
「……大丈夫だよ?零くんちょっと慌てすぎ」
「いや、それは、まあ、それならいいんだ。よかった……おはよう」
「うん。おはよう」
零くんの、こんなに取り乱したような声を聞いたのは初めてだ。そんなに気にしてくれてたのかって思えば……ちょっと嬉しくもあって……先生もいるのに顔が自然とニヤけてきてしまう。
「連絡無かったからどうしてるか心配だった」
「ごめんね、色々バタバタしててさ……」
「本当に大丈夫か?辛くないのか?」
「大丈夫だって。先生も一緒だし。何なら今もすぐそこにいるしね」
「そうか……もう仕事は終わった?」
「うん」
「……頑張ったな。お疲れさま」
「ありがとう。零くんも頑張って!」
「ああ。でも早くの顔が見たい」
「……明日迎えに来てくれるんでしょ?」
「勿論。それまでに仕事は終わらせておくから」
「じゃあ……」
「を家まで送って、良ければそのまま一緒にいたいかな」
「それって……」
なんだか急に胸が騒ぎ出した。帰ったら零くんと一緒に過ごせる事に対してなんだろうか。彼は翌日は休みだって言ってたし……もしかするとウチに泊まっていく?かもしれない。
この前ある程度家の掃除はしたけど……ウチは……大丈夫だっただろうか。
「……ウチに来るの?」
「ああ。の住んでるとこ、見てみたい」
やっぱりそうなるか……胸騒ぎに加えて体温まで上がってきた気がする。
でも先生の手前、だんだん電話もしづらくなってきて。それからそこそこの所で通話は終えた。
途端に先生から冷やかしが飛んでくる。
「帰ったら早速イチャつくつもりか?」
「先生……零くんはそんなにガツガツしてませんよ……」
「なんだ草食系ってやつか」
「……そんな消極的でもないと思うけど」
ニヤニヤ笑われながら、スマホを枕元に置いた。