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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第9章 善意の横槍


目が覚めると、そこはなんとなく見覚えのある所だった。

そうだ、ホテルだ。それで……たしか……

数秒考えて、事の顛末を思い出す。最後に、酷すぎる惨状を見たんだ。とにかくなんとか状況を伝えて、役目を果たせたと感じた瞬間、本当に気が抜けてしまった、のか。

とりあえず上半身を起こす。


「、起きたか」

「先生……私、倒れた?」

「ああ。よっぽど辛かったんだろうな……」

「辛いっていうか……まあそういう事なのかもね……」


水野先生が部屋には居て、ペットボトルのお水を持ってベッドの隣まで来てくれた。急に喉が乾いてきて、それを受け取るなりすぐにゴクゴク喉へと流し込んだ。ふと目線を下げれば、私はホテルのパジャマを着てる。


「あれ、着替えまでしてる」

「赤井さんがFBIの女性を呼んで着替えさせてくれたんだ。妙な心配は要らん」

「そっか。赤井さんは?」

「が見た情報を頼りに早速捜査に取りかかってるそうだ。礼を言ってたぞ」

「ふーん……犯人捕まるといいですね。てか捕まってくれないと困る!私倒れるくらいの仕事したんだから!」

「だな。体調はどうだ?起きれそうか?」

「うーん、多分、大丈夫。かな?」

「まあ大事を取って今夜はホテルで過ごすか」

「あ……今何時!?」

「夜の七時だ」

「えっ!ごめんなさい先生!私ここにいるし、どっか、遊びに行ってきても……いいですよ?」

「がこんな時に呑気に遊びになんて行けんよ……」


私は何時間も眠ってたみたいだ。でもそれよりせっかく海外に来たのに、ほとんど遊べてない!行きたい所、全然行けてない。そういや昨日聞いたドーナツ屋さんにも行けなかったし、零くんへのお土産だってまだ何も買ってない。

そもそも仕事で来てるんだからしょうがないと思うしかない、か。


「私の荷物……スマホは……?」

「ここにある。ほら」

「ありがとうございます」



鞄を受け取り、スマホを確認する。

零くんに朝メッセージを送ったきりになってるけど……変に心配させてないだろうか。気を失って倒れたなんて言わない方がいいだろうな。


「先生、零くんには私が倒れた事言わないで」

「……余計な心配をかけんようにか」

「うん。赤井さんの事もだけどね」

「分かった。言わんでおく」
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