第8章 アメリカでの仕事
「晩メシ何にする?」
「うーん……何って言われると……実は、和食が食べたいかも」
「っ!俺も食べたくなってきた」
しかし、このワシントンに日本人の私達が満足できる和食屋はあるのか?(しかも安価で)
ネットで調べてみるも、まあどれもこれも現地の人向けのお店に見えてくる。
「赤井さんに聞いてみるか?彼、親が日本人なんだろ?好みが俺らと合うかもしれんし、日本にも住んでたようだし」
「たしかに今一番頼りになるかも……昨日のダイナーも今日のお昼の店も美味しかったし」
先生が赤井さんから聞いていた番号へ電話をかけると。
美味い所はある、だがホテルから歩いて行くには遠い。俺もちょうど腹が減っているし、迎えに行くから一緒にどうですか、との事で。
甘えさせてもらうことになる。
そして一緒に来たのは日本でいう定食屋さんのような所で。親子丼、カツ丼、カレーにラーメン、揚げ物色々に、お寿司まである。
私は親子丼、先生はラーメンやら色々、赤井さんはカツ丼定食を頼み。それらが出てきた。
「わー!普通に美味しそう!」
「ここは店主が日本人だからな」
「へー……いただきます!」
それぞれ、箸を進める。(私はスプーンだけどね)
うん。日本で食べるのと遜色無い。ホッとする美味しさだ。
ちなみに赤井さんは、お箸も上手に使えるみたいだ。
「日本の警察に捕まった容疑者は、取調室でカツ丼を食べるんだろ?」
「そりゃ……警察のモンに聞いた事あるんですが、ほとんど無いそうですよ。日本の刑事ドラマのイメージが定着してしまっただけみたいですね」
「成程」
「アメリカの警察は、ドーナツのイメージです!」
「ああ、それは間違いではないな。だが、制服警官達が皆ドーナツ好きなのは何故だか知っているか?」
「いえ?どうしてですか?」
赤井さんに理由を聞けば、とあるドーナツチェーン店が、制服+パトカーで来店の警察官にはコーヒーやドーナツを大幅値引きで提供しているからなんだそう。これは店舗周辺の防犯も兼ねているらしい。
「へー!おもしろーい!」
「警官が頻繁に立ち寄ることで周囲の治安も良くなる上に、警備会社に警備を頼むより遥かにリーズナブルだ」
「考え方一つでなぁ、成程……」
「明日の休憩はソコのドーナツとコーヒーにするか?」
「はい!是非!」