第8章 アメリカでの仕事
「しっかしあのFBIの赤井さんってのはいい男だよなー、男が惚れる男だな」
「そうですか?……まあ、たしかに。男らしい感じですよね」
「俺ももう少し若かったらなー」
「先生は若くても“ああ”はなりませんて。私覚えてますよー?若い頃の先生も」
「中々イケメンだったろ」
「そんな風に意識したことないです」
「結構モテたんだがな」
「その話もう何回目ですか……?私はオジサンだったらジェイムズさんみたいな素敵なおじさまがいいけどなぁ」
お酒も二杯目、先生のくだらない話に付き合っていると、零くんから返信が届いて、思わず顔がニヤける。
“おはよう。けどそっちは夜なんだな。
そっちの人とは上手くやれそうか?
飲んでるのもいいけど、の写真はいつ届くんだ?”
“そうだね。
こっちの人も、理解がありそうな人で上手くいきそうかな。
写真はね、そのうち……”
返信を打っていると、ニヤーっと笑う先生に見事状況を察される。
「……降谷さんか?」
「そうです」
「のこういう顔を見るとな、俺は嬉しいんだぞ……!」
「私も先生が喜んでくれると嬉しいですよー!」
「幸せになれよな、本当に」
「幸せねぇ……」
既に今、結構幸せだと思うんだけどな……口には出さないけれど。
程よく酔ったら、ホテルに帰り、眠って。
翌朝。いよいよここでの仕事が始まる。
外に出れば爽やかな風が心地よく吹いている。天気も悪くない。
朝だろうが何だろうが昨日とほぼ変わらない顔付きの顔の赤井さんに連れられ、早速昨日決めた順に市内を回る。
昼過ぎにハンバーガーをお腹いっぱい食べて。また次の箇所へ向かい……
良いのか悪いのか、遺体を目にすることはなく予定通りに事は進んでいった。
だけどそろそろ脳に酸素が足りてないっていうか……しんどくなってきた。
「赤井さん、すみません……そろそろ一度……」
「休むか」
「はい……キリのいい所で……」
「なら……ココまで、できそうか?」
「はい。ありがとうございます……」
昨日作ったリストの“ココまで”と言われた所まで、精一杯頑張って終わらせた。
赤井さんから「車に乗っていろ」と言われて、先生と二人、後部座席に乗り込む。革張りの大きなシートに背中を全部預けて、目を閉じる。
あー……疲れた……