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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第8章 アメリカでの仕事


「可愛くて仕方ないんだ……それでいて安心できるっていうか……なんだろうな」

「あの、零くん……地味に恥ずかしいんだけど……」


ずっと手は握られたまま、ふと気付くと周りから私達は好奇の目線で見られている。突き刺さる視線が痛くて俯き加減の私を見て、零くんは楽しそうに笑う。でもいつの間にかそれにつられて私も笑ってしまって。向かい合って見つめ合いながら、何が楽しいのか声を上げて笑う。

きっと今の私達は傍から見たらバカップルだ。まさか自分にもこうなる日が来るとは思ってもみなかったけど……


誰かとただ一緒に時間を過ごすだけで、あんなに楽しい気分になるのって久しぶりだった。




零くんにアメリカでの仕事の話をしたのは、航空チケットが研究室に届いた日の深夜。

ベッドに入って寝る前に彼と電話をしてて。(長電話するのって、零くんがかなり久しぶり)


「アメリカか……まあ、の力のことを耳にすればどこだって欲しがるよな」

「私は複雑だけどね……水野先生はね、アメリカの方が殺人事件の件数も遥かに多いし、どうせならしばらく行ってくればって言うの。でも私は人の役に立てればそれは嬉しいけど……」

「嫌なものは見たくないよな」

「そう。それ」

「僕も仕事柄普通の人よりもそういう現場は多く目にしてるけど……慣れたくはないよな」

「うん……何も見なくて済めばいいんだけど……それじゃあ何の役にも立てなかったってことだから……」

「それはが気にすることじゃない」

「……ありがとう、そうだよね」

「あんまり無理するなよ。ちゃんと休みながらさせてもらえよ?」

「……あっちの人も零くんみたいな人ならいいんだけどね」

「僕が同行できれば……って思う所だけど……週末はどうしても外せない仕事がある」

「こんなことで仕事休んだら零くんじゃなくなっちゃうよ!頑張って!」

「まあな。でも見送りには行く。何時の便だ?」




そしていよいよ渡米の日。

夕方、空港に水野先生と二人到着して手続きをしようとしていると、後ろから名前を呼ばれた気がした。

くるっと振り返ると零くんがニコニコしながら立っていて。目が合って思わず私も笑ってしまう。
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