第6章 好きの定義とは
何の音もない薄暗い部屋の中、少し荒くなってきた私達の吐息と、唇を啄む音、それからたまに布の擦れる音だけが、やたらハッキリ聞こえる。
零くんの手が、服の上から乳房の上に重ねられた。そっと、ゆっくりと揉まれて、なんだかもう堪らなくなってきた……
さっきから身体も熱いし、早くその先に触れてほしい。
「零くん……熱い……」
「ん……脱ぐか?」
「うん……」
小さなキスをひとつ額に落として、彼は丁寧に一枚ずつ、私の服を取り去っていく。普段から着てるやつ、そんな大した服じゃない。この服をここまで慎重に扱ったのって、零くんが初めてだ。
下着だけにされた身体をまじまじと見下ろされ。部屋は暗いとは言え、やっぱり少し恥ずかしい。
「綺麗だな……」
「そんなことない……」
「いや。こんなに……女性の身体に触れたいと思ったのは、初めてだ」
「っ、」
嘘だ、と言おうとした唇はキスで塞がれ、舌をキツく吸われる。熱い手のひらが素肌の上を這い回り、乳房を包んでくる。
多分、胸の先は硬くなってる。少し布が擦れるだけでも気持ちよくて……身体を捩って零くんの身体に腕を回す。
ふと目が合って、ゾクゾクするような視線に心臓が跳び跳ね。
自然とまた唇が重なり……キスを繰り返しながら零くんの背中を抱き締める。
「ここ、膨れてるな」
「っん……ぁ……っ」
指の先でソコを弾かれると声が出そうになる。
堪らず彼の服の裾から手を差し入れ、広い背中を直に撫でて両手できゅうっと抱き締めた。
当然、零くんの服は中途半端に捲れ上がってる訳で。キスの合間に彼は上半身の服を一瞬にして脱ぎ捨てた。
それからまたキスに没頭して……
ゆっくり音を立てて離れた唇は、首すじにキスをしながら這っていき、胸元の膨らみを啄んできた。
背中に入り込もうとしてくる手を、身体を捻って許せば、あっという間にブラは取り払われ、次の瞬間には胸の先は零くんの口に含まれていた。
「あっ!……あ、ぁ……っん」
「可愛い……」
舌で転がされて、吸われて、唇で噛まれたり……反対も優しく揉まれながら指で擦られて……
背中が反っては、緩み。
生温かくて甘ったるい、底の無い沼に落ちていくみたいだ。