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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第6章 好きの定義とは


「甘いモノ食べるか?」

「んー……零くんが食べるなら?」


彼は何かを冷凍庫から取り出すと、レンジにかけ始めた。キッチンで動く零くんの姿はなんかサマになってるというか……いやもう彼の場合は何しててもそう見えるのかもしれない。

コーヒーの良い香りが漂い出して少しして、零くんが持ってきたのは、コーヒーと、チーズケーキだった。


「……これもしかして手作り?」

「ああ。前の潜入捜査中に喫茶店で一年ほど働いてて。スイーツ作りはその時に覚えた」

「へえ……零くんが喫茶店……ちょっと見てみたかったかもー。いただきまーす」


隣に腰掛けてきた彼に少しだけ緊張しつつ。コーヒーをひとくち飲んで、ケーキを小さく切って頬張る。うん。美味しい。零くんはこんなのも作れちゃうのか。


「でもその頃にと出会ってたら絶対こうはなれなかった。知り合ったのが今でよかったと思うよ」

「そっか、潜入中って……そうだよね……」

「それにあの時は常に仕事仕事だったし……今みたいにこうしてゆっくりしてる事が、怠けてるように感じるくらい」

「そんなに忙しかったの?」

「一日三時間寝れればいい方だった」

「三時間!私には無理だな……」

「慣れだ、慣れ」


ふと思った。零くんがこの先またそういう仕事に就くことってあるんだろうか。
聞きたいような、でも聞いてそれを肯定されたら切なくなってしまいそうで……何も言わない事にしたけど。


「そうだ……がウチに来たら、コレを見せようと思ってたんだ」


零くんがPCを出してきて、電源を入れ。

しばらくして見せてきたのはおそらく、昔の写真。


「コレ、もしかして……」

「コレがヒロだ。コッチが松田で、コッチが萩原、コレが伊達」

「零くんはコレだね、あっコレも……」

「そうだ」


零くんの若い頃の写真だと思われる。みんなやんちゃそうで可愛い……ていうか零くんとこの松田って人、すごい怪我してる。傷だらけだ。でも写真から楽しそうな空気が伝わってくる。


「みんな可愛いねー」

「可愛いか?……小憎たらしい顔してるようにしか見えないけどな」


そう言いながらも零くんの顔付きはにこやかだ。
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