第6章 好きの定義とは
「次はいつ来るといい?」
カウンセリングを終えるにもいい頃合になって、零くんが尋ねてきた。
「次はね、零くんにテストみたいなものを受けてもらおうと思ってる。簡単なテストだけど、一時間はかかるから覚悟してね!えっと……来週私達が空いてるのは、月曜日か水曜日だね」
「どっちも仕事だな」
「じゃ再来週は?月曜以外は大丈夫」
「再来週なら……火曜が休みだ。どうだ?」
「うん、大丈夫。じゃあ再来週の、火曜日ね……同じ時間でいいよね?」
「ああ」
予定をメモして……カウンセリングは終了だ。
「さーて!今日は何食べよっか」
「今日は車で来てるからどこでも行けるぞ」
「あ、そうなんだ……」
そうか。じゃあ今夜はお酒は無しか。今日は金曜日。私は明日休みだから、たっぷり飲めるのになー……って、なんとなく、残念に思う。
「遠くに行くのは嫌か?」
「ううん。ただお酒飲めないんだなーって」
「なんだそんなことか。だったら車を一旦置きに帰って、それからどこか行こうか」
ということで、一度零くんのお家まで車で行く。彼の家はそんなに遠くない所だった。(そしてちなみに綺麗なマンションだった)
車を駐車場に置いて、歩道を歩く。近くにおすすめの店があるんだと。
「ここだ」
「あ!なんかいい感じ」
連れてこられたのは、イタリアン?ビストロ?バル?そんな感じの、気軽に入れる雰囲気の洋食のお店だった。
ほぼ個室のような席に通されて。ビールを頼んでメニューに目を通す。
「うわー……美味しそ。お腹減ってくる」
「実際食べても美味いぞ。ここの料理は色々参考になる」
「零くん料理できるの?」
「割とできる方じゃないかな」
「へえ……すごーい……」
零くんって何でもできるんだな……私、料理苦手。とは言い出せず。目に付いたものと零くんのオススメだと言うものを頼んでいく。
出てきた料理は本当に美味しくて。どんどん食べ進める。
「ん!美味しい!……なんかこれ、ワイン飲みたくなるね」
「頼もうか。ボトル半分くらい飲める……よな?」
「飲める飲める。明日休みだし!どれにしよう」
「……この白は?」
「うーん……私赤がいいかな……」
「じゃあ任せる。好きなの選んで」
値段も高くなく、重すぎず軽すぎず、無難そうなのを選んだ。