第5章 光差す窓、温かい背中。
浴室から立つシャワーの音を聞きながら、ベッドの中で微睡む。
彼を一晩泊めたはいいけど、これから一体どうなるのだ。いつまで彼がここにいるのかは分からないけど、せめて何か食事はさせてあげないといけないよな。私だってお腹は空いてる。
冷蔵庫に食品はあまり無かったと思う……冷凍庫になら色々あったか……
シャワーを終えて出てきた彼はまた一段とセクシーで……なるべく直視しないよう、昨日洗って乾いていた服を渡して、私もシャワーを浴びた。
私って……いたって普通の体型。鏡に映った自分の裸を見ながら小さくため息を吐く。
これをあの立派な体格の彼にさらけ出してたと思うとまた別の意味で恥ずかしい。
「お腹空いてます?って言ってもぜんっぜん大したものは無いんですけどね、なんか用意します」
「ありがとうございます。僕は食べられるものなら何でも大丈夫ですよ」
「じゃあちょっと待っててください」
「あの……食事まで用意してもらって恐縮なんですが、スマートフォンの充電器を貸してもらっても……」
「ああ、もちろん。どうぞ」
しばらくして、出来上がった既製品オンパレードの料理をテーブルに並べる。と、驚いたような表情をされる。
「さん……こんなに作ってくれたんですか」
「まさか!ほとんど出来合いのものばっかだし……むしろちゃんとしたのじゃなくてすみません」
「いえ、全く問題ありません。僕も料理はできませんし。頂きます」
しばらく無言で食べ進めていると、彼のスマホに電話がかかってきた。
「はい……ええ、すみませんスマホの充電が切れていまして……ええ、問題ありません……はい……ええ……それは、助かります……ええ、はい……また連絡します」
誰からだろう。高い声が漏れ聞こえてきたから女性だと思うけど。電話を切った彼に尋ねる。
「彼女ですか?」
「僕に恋人はいない、と昨日も言いませんでしたか?」
「あ、そうでしたね」
「新しく住む家を世話してもらえることになって。その大家さんからです」
「へえ……よかったですね」
「ええ」
住む家ができたのなら、もう彼と私はこれ以上関わる必要もない。なんだか、寂しい気もするけど……ちょっと複雑。