第14章 二人の選んだ道
無事飛行機は日本に着き、私は今都内のホテルの一室にいる。時刻は夕方五時。零くんの部下である風見さん曰く、零くんは今夜この部屋に来るそうだ。
シャワーを済ませたばかりの肌に直ぐにメイクをして新しい服に着替え。逸る気持ちをなんとか落ち着かせながら、彼の到着を待つ。
それにしても空港ではヒヤッとした。
風見さんが私を迎えに来てくれてたんだけど……
秀一さんと若干の距離を取りながら空港内を歩いていると、風見さんと思しき姿が見えてきて。
その風見さんと目が合った瞬間、「公安の刑事がお迎えとはな……」と秀一さんが意味ありげに呟くのが聞こえ、直後風見さんの顔面が凍り付いたように固まったのだ。
次第に風見さんとの距離は近付き、彼らの間には徒ならぬ空気が漂い出した……
「何故……さんと貴方が一緒なんですか」
「一緒じゃ悪いのか?俺達は仕事仲間だ。俺には君がを迎えに来た事の方が不思議だがな……しかし久しぶりだな、あの時は世話になった」
「それはお互い様です。行きましょう、さん」
「は、はい……じゃあ、秀一さん、また……」
「ああ。良い休暇をな」
秀一さんは私達に背を向けて、一人先に出口の方へ進んでいった。
零くん程では無いにしろ、風見さんもかなり秀一さんに敵意を持ってるように見えた。
「わざわざ迎えに来てくれてありがとうございます……あの、風見さんも、面識あったんですね、あの人と……」
「ええ。それより降谷さんはご存知なんですか?さんが赤井と仕事してるなんて」
「知ってますよ。ちなみに零くんは赤井秀一が大っ嫌いだってことも知ってます」
「……だったらどうして」
「零くんも本当の所は……良くは思ってないんだと思いますよ」
「はい……」
「でも私達今はお互い目の前の仕事に打ち込むって決めたから、私の仕事仲間のことに零くんは特に文句も言わなかったですし、もし私が逆の立場でも……言わなかったと思います」
そう、例えば零くんの仕事のパートナーが超絶美人のキャリアウーマンだとしても、例えば潜入先が美女だらけの犯罪集団だったとしても、仕事は仕事、だ。(例えが“美人”しか思い浮かばなくて情けないけど)