第14章 二人の選んだ道
「……なんと言いますか……降谷さんとさんのご関係はすごく羨ましいです」
「そうですか……?結構変わってると思ってたけど……そう言えば風見さんは彼女って……」
「おりません……自分にもそういう人がいたら、と思う事はありますが、まあ、中々、警察という特殊な職業を理解してくださる方は少ないですし……」
「……少なくてもゼロじゃないですよ。いい人が見つかるのを私楽しみにしてますから!きっと零くんもそう思ってますよ!」
「は、はい……恐縮です……」
まあ、こんなやり取りをしながらホテルに送ってもらったのだ。
そろそろ“夜”と言っていい時間帯。ふとカーテンを捲って外の景色を見れば、街路樹に付けられたイルミネーションがキラキラと大通りの端を飾っていて。去年の今頃のことが色々思い出される。
……これでよかった。そうでなくちゃ困る。
物音ひとつ無い部屋の中、急に電子的な音が小さく響いた。音の方向を振り向けば、部屋の入口のドアが開きかけていた。
「……、居るのか?」
「……いる!!!」
私の身体は飛び跳ねたんじゃないかってくらい……一瞬にしてそっちの方へ向かって走り出す。
ドアが開いて部屋に入ってきたのは勿論、零くんで……駆け寄るなりその身体に抱き着いた。零くんも、しっかりと抱き締めてくれる。
久しぶりの彼の匂いと、この心地を……身体中で存分に味わう。
「……」
「零くん……」
顔を上げて、目が合うか、それとも唇が合わさった方が早いか……そのまま何度もキスを繰り返す。喋りたいことだって沢山あるのに、キスが止まらない。
唇が離れる合間に、「元気だったか」とか「会いたかった」とか、短い言葉を発しては、また口付けて……
どんどんキスは深くなり、次第に身体は熱を持ち出して……もう……堪らなくなってきた。
零くんも同じだったんだろうか。
「……今すぐを抱きたい」
「ん……っ、うん……」
身体が持ち上がり、ベッドに背中から倒される。一緒に倒れ覆い被さってくる零くんとまた唇が重なり。飢えた獣みたいにまた夢中で貪り合う。
まだほとんどまともな会話もしてない。でも、気持ちは通じてるはずだ。