第13章 決断のその先
零くんのベッド、何度も寝た事のある場所。だけど今日はやけに新鮮に感じて……異様なくらいドキドキしてる。
覆い被さってくる零くんの首元に手を伸ばし、ネクタイをシュルシュルと解いて、抜いて、放り。続いて、シャツのボタンをひとつ外す。
「どうしたんだよ……もう待ち切れない?」
「……分かんない」
たしかに、いつもは零くんにこんな事しない。ほとんど彼に任せて委ねてばっかりだ。今日は何かが違うみたい。
どんどんシャツの合わせ目を開いて、現れた素肌に手を這わせて広い背中を抱き締める。
直ぐに唇が重なって……舌が何の躊躇もなく入ってきた。舌を舌で愛撫し合うようなキスを続けていれば、唾液が端から溢れてくる。
ワンピースの裾から入ってくる零くんの手が、薄いタイツ越しに脚を撫でてくる……もう身体はすっかり熱い。
「んっ……零くん……もう、脱がせて……」
「ベッドなら、じっくりたっぷりって言ったじゃないか……まあいいけど」
零くんは、焦れったいくらい丁寧に服を脱がしてくれるんだけど……やっぱりもどかしくてウズウズしてくる。
「なんか今日の……堪らなく可愛いな」
「……いつもと、違う?」
「なんだろうな……すごく、虐めたくなる」
「っえ?あ!……やだ!」
手を握られるのかと思ったら……さっき外した零くんのネクタイで両手首をまとめて縛られてしまった。
上下の下着だけを身に付けて、縛られた手は頭の上……状況を把握して、じわじわ恥ずかしさが込み上げてきた。
ここの所、零くんの情事中の意地悪度は増していく一方な気がする……
お腹の辺りを零くんの指先が滑る。くすぐるような動きにやたら反応してしまって身体が捩れる。
「零くん……っはぁ……」
「ああ……想像以上にいいな……」
「や……取ってよコレ……」
「まだダメだ。後でちゃんと解くから」
「んっ……あ……っ!」
至る所にキスが落とされていく。首すじも、鎖骨も、肩にも……二の腕の内側を唇で食まれて、キツく吸われて、チリっと痛みが走る。
「零くん……跡、残ってる……」
「いいだろ?別に見える所じゃないし……ほんとはもっと目立つ所に付けたいけど」
「っ……んあぁ」
跡を付けられた付近を彼の舌が這う……それが想像してたよりも気持ちよくって……力が入らなくなってきた。