第13章 決断のその先
「一つ目は、僕がその任務を受ける。捜査に何年掛かるかは分からないけど、終わるまで僕達は殆ど会えなくなると思う。でもがアメリカに行くんなら、それもちょうどいいのかもしれない」
「……うん」
「二つ目は……僕達が結婚することだ。そうすれば僕に潜入の話が来ることはおそらくない。今みたいに割と穏やかに二人で生活していけると思う。その代わり警察官の妻となるには基本的に国内に居てもらわないといけないかな」
「っえ、ちょっと……待って!?」
零くんが犯罪組織に潜る、私はアメリカに行く、殆ど会えない。もしくは結婚して日本で二人で暮らす、の二択!?
少し前なら迷わず後者を選んでたと思うけど……
「そんな……簡単には決められないよ……零くんは、どうしたいの?」
「……僕だけの問題じゃないから、の意見を聞きたい」
「私がいなかったら、零くんはそういう仕事をするのも全く躊躇しない、んだよね?」
「……そうだな、断る理由もないし。はどうなんだ?僕がいなかったらアメリカに行きたいのか?」
「……分からない。結構しんどい仕事になるのも分かってるし……でも人の命を救えるかもしれないって思うと……迷う」
「僕だって好きで危険な仕事をしてる訳じゃない。国民の安全や秩序を保つ為に必要だから、するんだ」
零くんはどこまでも真面目だ。そんな真っ直ぐな所が彼の良い所なんだけど……
っていうか、“結婚”ってなんだ。急に出てきたフレーズにイマイチ頭がついていけてなかったけど、これはこれでめちゃくちゃ重要な話じゃないか。
「……あ、あの私、結婚したくないって思ってる訳じゃないからね!」
「ああ、そうであってほしいよ」
「うん……」
「もしがアメリカに行って、僕が潜ることになったとしても……潜入が終わり次第、と結婚したいと思ってる」
つまり、二つの選択肢のどちらを選ぶにせよ、いずれは結婚するってこと……?
もちろん嫌じゃない。むしろ、これくらいの覚悟があった方が……
いくら秀一さんとアメリカで毎日顔を合わせようが、いくら零くんと会えなくて寂しくたって……