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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第13章 決断のその先


ハンドルを握る零くんの横顔には笑みは一切見られない。声色も冷たい。

“今日何してた”って、こんな風な聞き方をされた事は今まで一度もない。もしかして秀一さんと一緒に居たことを、零くんは知ってるんだろうか。背中を変な汗が流れる。

全て正直に話すべきか、それとも、隠し通すべきか。


「昼間は出掛けてて、用事が終わって今帰るとこだったんだけど……なんで?」

「気になる事があってな……それに大事な話もあるんだ。ウチで話そうか」

「うん……」


渋滞気味の大通りを時間をかけて抜け、零くんの家へ向かう。でも、その車内は無言。こんなに長いこと零くんと口をきかないのも、初めてかもしれない。




暫くぶりに私が声を発したのは、玄関のドアを開けてもらった時だった。


「おじゃまします」

「いいって、もうのウチみたいなもんだろ」

「そだね……」


たしかに、もう勝手知ったる零くん家だ。何も言われずとも今から自分の座るべき場所へ自然と足が向く。テーブルを挟み、零くんと向かい合って座った。

ただ、異様な空気が流れている。


「なあ。前には赤井秀一を知らないって言ってたよな」


やっぱり秀一さんのことか……


「ウチの前にその人が居たとき……?あの時は、たしかに知らなかったよ」

「今は知ってるってことか?」

「……うん、知ってる。その少し後に知り合った。でも零くんには言わない方がいいと思って勝手に黙ってた……ごめん」

「僕に言わない方がいいってどういう意味だ?アイツと何かあったのか」


零くんはどこまで知ってるんだろう……真っ直ぐこっちを見てくる瞳に、私はどう映ってるのか。


「私この前アメリカ行ってたでしょ。零くんには言ってなかったんだけど、その時に一緒に仕事をした人っていうのが赤井さんでね……零くんに話してもあんまりいい気しないかな、と思って……敢えて言わなかったの……」

「……それだけじゃないだろ?」


勿論それだけじゃない。でもどこまで話せばいい……出来れば、あまり波風立てずに穏便に済ませたい。

悪い事をした。反省もした。もうしない。だから見逃してもらえないだろうか。

刑事に取り調べを受ける容疑者って、こんな感じなのかな……
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