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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第12章 密会は堂々と行われる


そして翌朝、何かの気配で目が覚めた。


「すまん、起こしたか」

「ん……だいじょぶ、です……」


隣には身体を起こしかけている秀一さんがいた。昨夜散々声を上げた私の喉はガラガラで、自分の第一声に驚く。

どうも暖房は付けたまま寝たみたいだけど、裸のまま布団を被ってるだけなので、布団から出した部分が寒い。

ふと、思い出す。


「服……」


裸のままベッドを飛び出し、洋服をしまってあるタンスの一番下の段、その一番奥から、彼の部屋着を取り出した。もちろん自分の部屋着も。

とりあえず彼に背を向けたまま自分のそれを着て、彼にもそれを手渡す。


「……どうぞ。これ、秀一さんのだから」

「ああ……そうだったな……」

「なんか捨てられなくって……」

「そうか……」


服を着て、とりあえず喉を潤し、二人並んでベッドの端に腰掛ける。現在の時刻は、普段起きるくらいの時間。


「メシでも食うか……それとも風呂が先か」

「……お腹空いたし私作ります」

「俺も手伝う」

「いいですよ……寝ててください」

「俺はな、あれから料理はだいぶ得意になったんだぞ」

「えっ!?」


あの包丁の使い方も微妙だった彼が。料理が得意だと……?

半信半疑の中二人でキッチンに立てば……彼は言葉通り手際よく食材の下拵えを始めた。へえ……


「実はね、私も最近まともに料理するようになったんですよ」

「そのようだな。冷蔵庫の中を見て思った」

「あの時は料理なんてほとんどしてなかったもんなぁ……」

「信じられんな、あの時は簡単な家庭料理に二人がかりで数時間も掛かったんだぞ」

「でしたね……よく覚えてますね」

「大抵の事は覚えている」




……なんだか、彼と普通に喋れている。“昴さん=秀一さん”という概念にもすっかり慣れてきた。

あっという間に出来上がった朝食をテーブルで向かい合って食べていても、なんと言うか……自然。昔から一緒に居たかのような居心地の良さがある。
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