第12章 密会は堂々と行われる
呼吸がようやく落ち着いて、改めて赤井さん、というか秀一さんの身体をマジマジと眺める。
この鎖骨の感じも、乳首もオヘソの形も、やっぱり昴さんと一緒だ。
もう会えないと思ってた“あの彼”に、会えたのだ。
まあ……一度ついた勢いが止められず、欲のままに身体を合わせてしまった訳だけど……今回は、それで良かった、とはいかない。私は大変なことをしてしまった。
零くんの顔が、冷静になった頭から離れない。
「浮かない顔だな。せっかく再会できたというのに」
「……あと少し早かったら」
「ん?」
「すみません、なんでもないです……」
再会が、あと少し早かったら。私と零くんがお付き合いすることも無かったのか?こんな罪悪感に苛まれることもなかった?
どうしたらいい。
彼が私の身体に愛おしそうに触れてきた。その手がやっぱり心地良くて……その手に溺れたくなってしまう。
どうする。
……でも考えた所でダメなのだ。身体はまた勝手に彼を求めて疼き出すし、私はそれを抑えることが出来ない。
こんな風に身体中の細胞が悦びに沸き立って反応しちゃうような相手って、この人しか知らない……この人じゃないと……
それから結局何度か絶頂と弛緩を繰り返し、頭も身体もヘロヘロ……
「あいしている」だったか「あいしてる」だっただろうか……
彼の腕の中で眠ってしまう少し前、掛けられた言葉に内心戸惑った。どう反応したらいいのか分からず、寝たフリをしてしまった。
嬉しいのか、悲しいのか、自分の感情もよく分からないや……