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恋のはじめかた【名探偵コナンR18】

第12章 密会は堂々と行われる


「ひとつ、聞いて欲しい話がある」


巻物が出てきて食事も終わりかけになった頃、赤井さんがゆっくりと切り出した。いよいよ本題の話だろうか。


「はい……なんでしょう?」

「さんの例の能力だが……その力をもっと発揮する気はないか?今の本職は大学の研究員なんだろう?」

「そうですけど……」

「単刀直入に言うと……アメリカで俺達と仕事をしないか。今の職場より良い条件で迎えてやれると思う」

「それは……有難いお話ですが……」


私は今FBIと仕事しないかと言われているのか。だから水野先生は無しで、って事だったのか?

でもそれを承諾したら私はアメリカに移住するってことになるのか?


「……まあすぐに決めろとは言わん」

「はい……すぐにはお返事出来そうにないです……」

「先にとりあえず見てもらいたいものがある。パソコンが使える所に行きたいんだが」


赤井さんがポケットからUSBメモリを取り出した。その中に何か見せたいものが入ってるって事だろう。

PCの使える所って言ったら、ネットカフェか……大学か自宅?


「どんな内容です?ネットカフェで開くのはマズいですか?」

「そういう所のセキュリティはどうなんだ?」

「万が一の事を考えると推奨できる環境ではないのかな……」


でも大学には誰が残ってるかなんて分からないし……


「……ウチに来ます?」


悩んだ末に、自宅に赤井さんを招くのが最善だと決断した。思いは複雑だけど。


お会計はいつの間にやら赤井さんに済まされていたみたいだった。彼は席を立ち店の人に挨拶をして、そのままサッと外へ出る。私もその後ろについて店を出た。


すぐにタクシーを拾い、二人で後部座席に乗り込む。運転手に自宅の場所を告げようとしたけど、赤井さんの方が速かった。


「〇〇町の□□公園の近くまで頼む」


彼は私の家の場所を知ってるみたいだ。たしかに、零くんと帰ってきた時に赤井さんがエントランスに居た事はあったけど……そんな話アメリカでも、今日だって、一度もしなかったし。気付かれてないと思ってた。


「……家の場所知ってるんですね」

「……覚えていないのか?家の前で会っただろう」

「覚えてたんですね……」

「よく覚えている」


そこで会話は途切れ、車内には動画広告の音声がやたら煩く響き始めた。
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