第10章 気分は上々……
「、立てるか?」
「待っ、て……」
よろけそうになりながら立ち上がって、また零くんにシャワーを掛けてもらうんだけど……身体を流した所で彼はお湯を止めて、浴室から出ようとする。
「零くん、もういいの?」
「ゆっくり入るのはまた後でいいだろ?とりあえず綺麗になったし」
何か含んでそうな笑い方をされて。一度消えかけた火が、また赤々と燃え出したみたいに身体の芯が熱くなってきた。
まだ、終わらないって事なのかな……考えてしまうと頬まで熱くなってくる。
「あっ!タオル……そこの、一番上……」
「開ければいいか?」
「うん」
タオルの入った引き出しを零くんが引き。バスタオルを取り出すと、自分よりも先に私の身体に被せてくれて、撫でるように水滴を拭かれる。
ある程度拭き終えると、ぐるりとタオルを身体に巻き付けられて、“完了”って感じで肩の辺りを叩かれた。
ちょっと恥ずかしい。いや、さっきまでもっと恥ずかしいことしてたんだけどさ……
自分の身体を拭き出した零くんを直視するのが無理すぎて、「お水用意してくるね」とタオルの微妙な位置を自分で直しながらキッチンへ向かった。
冷たい水をゴクりと飲んで一息。
さっきまで色々急すぎて気付いてなかったけど、明るい所で零くんの裸を見たのも、見られたのも初めてだ。
ある程度想像はついてたものの、零くんってめちゃくちゃいい体してる。“あの彼”と比べても遜色ないレベルだ。って……なんで今思い出しちゃったんだろうか。馬鹿だ私は……
「僕にもくれ」
「れ、れ、零くんっ!?……はい……どうぞ」
「ありがと。驚きすぎだろ……何かあった?」
「いや……あの……」
いつの間にか斜め後ろに立っていた零くんに全く気付いてなかったのと、気付いて振り向いた瞬間目に飛び込んできた彼の姿に二度ドキッとしてしまった。
タオルを腰に巻いただけの零くん、いい体なのは勿論だけど……髪の毛の先が少し濡れてて、そこから滴る雫が落ちて濡れた肌が……艶かしすぎる。
それに水を飲み込むと動く喉も……
目のやり場に困ってあらぬ方向を向いた。
「?どうした?」
「零くんがカッコよすぎるから悪い……」
「なんだよそれ……ほら、行くぞ」
「っ……!」
肩に手を回され、部屋の方へ連れていかれる。