【ヒプマイ】よふかしのうた : R18 : 短編集
第1章 ※最初から兄妹じゃない 一郎
「うっ、ぐ、出る…っ」
一兄が身体を震わせ、先端から白い液体が噴出し、私の下着を汚した。テイッシュでそれをぱぱっと拭き取ると、…とぽつりと呟いて、また枕に顔を埋める。
一気に全身の力抜け、その場にへたり込んでしまう。一兄がどういう意図を持って、私の部屋で、私の下着を持って、こういうことをしているのか全く分からなかった。しばらく呆然とし、必死に頭を回転させてこの状況をどうにかしようと考えたが、これっぽっちもいい考えが思い浮かばない。
とりあえず…ここを離れよう。
それが1番だ、と立ち上がろうとしたとき、黒い影がふいに目の前で揺れた。顔をあげると、そこには怖いくらいの笑みを浮かべた一兄がいた。
「……あ、い、いち、兄…」
「…おかえり、今日部活なかったのか?」
ニッコリと微笑むその顔は、いつもなら安心できるはずなのに今は胸がざわめく。
とにかく、この場を、離れなきゃ…。
「そ、そうなの、急に、無くなっちゃって…あ!で、でもあの、今から、友達と遊びに、行くから…」
途切れ途切れにしか言葉が出てこない。一兄の顔を真っ直ぐ見ることもできない。明らかに挙動不審な私を、一兄はただ黙ってじっと見つめる。
「とりあえず、立ったらどうだ?そんなとこに座り込んでどうしたんだよ」
「あ、うん…そうだね」
一兄が差し出した手を掴む寸前で、私の手が止まる。それは、さっきまでアレを扱いていた方の手で。
「じ、自分で立てるから……わっ」
手を引っ込めようとしたとき、それを許さないと言わんばかりに手を掴まれそのまま引き上げられた。自然と体が密着する形になる。一兄の手が腰に添えられ、ギュッとさらに密着させられる。
「やっ、一兄…!?」
「なぁ」
耳元で囁かれ、ピクッと肩が跳ねる。一兄は耳に触れるくらいの距離で、甘く、低い声で囁く。
「さっきの見てたろ?」
「み…見てない!何も見てない!」
「本当か?」
「ほ、ほんと、だよ…」
「じゃあなんでさっき手掴むの渋ったんだ?」
「そ、れは…っ」
言葉に詰まってしまう。それはもう、見ていたと言っているようなもので。
一兄は鼻で笑うと、ちゅう…と耳に吸い付いた。
「ひゃっ…」
「嘘つきな悪い妹には、兄ちゃんがちゃんとお仕置きしてやんねぇとな…?」