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【ヒプマイ】よふかしのうた : R18 : 短編集

第1章 ※最初から兄妹じゃない 一郎


今まで辛いこともたくさんあったけど、今では家族全員で暮らせて、毎日笑い合えてすごく幸せだ。女が1人だから、ということもあるのだろうが、他の3人には随分甘やかされて育ったと思う。


これから先もずっと兄弟仲良しでいられると思ってた。





_____あんなことが、ある日までは。









「今日部活休みになっちゃったし、遊びに行く?」


急遽部活が休みになり、放課後、同じ部員の友達に声をかけられる。


「ん〜、いや、今日はやめとく!数学の課題終わらせときたいし」
「あ、そっか。あれ今週末提出だもんね。私もやんなきゃだ」


じゃ、また今度ね!と約束を交わし、友達と別れてから真っ直ぐ家へと続く道を歩いた。


家の前に着き、ただいま〜とドアを開けると、一兄の大きな靴が目に入る。今日は依頼なかったのかな?とリビングを覗いてみるも、一兄の姿はない。


「あれっ…どこにいるんだろ」


首を傾げつつ、とにかく着替えようと思い自室へと続く階段を登った。そしてドアノブに手をかけようとしたとき、ほんの少し扉が開いていることに違和感を感じる。

几帳面、とまではいかないものの、部屋を出る時はしっかり扉を閉めるタイプだ。じろ兄はいつも中途半端に開けっ放しだから、勝手に閉めさせて貰うほどには、気にかけてしまう。


「うっ………あっ…」
「…っ!?」


突如部屋の中から呻き声のようなものが聞こえ、思わず声が出そうになった。


誰かが私の部屋にいる。


その事実は、私を恐怖で包み込むには十分だった。


でも…一兄だったら、逃げるなって言うよね!


よしっ、と自分を奮い立たせ、とりあえず僅かに開いてる隙間から中の様子をそっと覗いてみる。





「………えっ」
「ふっ……くっ、あっ、…っ」


そこには信じられない、いや、信じたくない光景が広がっていた。


一兄が私の下着を手に、自分のモノを扱いているのだ。しかも顔は枕に埋めている。時折り、切なげに私の名前を呼ぶのはどうしてなのだろうか。

ぐちゅぐちゅと厭らしい音と、一兄の僅かな喘ぎ声が私の部屋で響いている。目を逸らさなきゃ、と思うのに、何故か私の目はその行為に釘付けになっていた。体が、ピシッと石にされたかのように動かない。
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