【ヒプマイ】よふかしのうた : R18 : 短編集
第1章 ※最初から兄妹じゃない 一郎
「おはよ!」
「おはよう、朝飯出来てるからさっさと食えよ〜」
朝起きてリビングに向かうと、エプロンをつけた一兄がちょうどご飯をよそっているところだった。三郎はすでに箸を進めており、私もいつもの席である三郎の前に腰掛ける。
「おはよ。二郎は?」
「一応起こしてきたけど、絶対二度寝してる」
「はぁ…ほんと毎朝叩き起こされなきゃ起きないよなあの低脳は…」
ため息をつきながら味噌汁を啜る三郎を見て苦笑しつつ、いただきますと合掌してから箸を手に取った。焼き鮭を一口大に切り、口に運ぶ。程よい塩分がご飯とよく合う。
三郎が朝食を終えて、私もそろそろ完食しそうなところでドタドタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
「やっべ!!ちょ、なんで起こしてくんなかったんだよ!?」
「起こしましたー、起きなかったのはじろ兄ですー」
「こら二郎、のせいにすんじゃねぇぞ?お前が自分で起きないのが悪いんだろ」
「うっ…ご、ごめんよ兄ちゃん」
じろ兄はしゅんとなりながらも席につき、ものすごいスピードでご飯を平らげていく。起きたばっかでよくお腹動くなぁ…と感心しつつ、自分のお皿を片付けた。食器を洗っていると、後ろからにゅっと手が伸びてきて私の腕に触れる。
「わっ…びっくりした、どうしたの?一兄」
「これ捲っとかねぇと濡れるだろ」
「あ、ほんとだ。ありがと!」
顔だけ後ろに傾けて、ニカッと笑う。それを見て一兄は優しく微笑み、ちゅっと唇で額に触れた。
「あははっ!なんか一兄にちゅーしてもらうの久しぶりだね?子供の頃はよくほっぺとかにしてたよね」
「…確かにそうだな。お前は昔と変わらず可愛いまんまに育ってくれて、兄ちゃん嬉しいぜ〜!」
「わ!?あっはは!!くすぐったいよ〜!」
うりうり〜と頬を擦り寄せられ、私も負けじと擦り寄せ返す。
「なんですかそれ、だけずるいです…!」
「そうだよ兄ちゃん!ほんっとには甘いよなぁ」
「はははっ、ほら、お前らも来い!」
一兄が2人を手招きし、何故か4人ですりすりし合うという謎の光景が生まれてしまった。わはははっ!と笑いが絶えない。