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【ヒプマイ】よふかしのうた : R18 : 短編集

第3章 ※心と身体の距離 帝統


「今日は奢ってやるよ」
「え!なんで?」
「お前、なんか朝から悩んでるっぽかったから」


いただきます、と割り箸を割りながらそう言いのけた同僚にドキッと心臓が嫌な音をたてる。側から見て分かるほど、そんなに酷い顔をしていたのだろうか。とりあえず、水を一口含んだ。


「なんかあったのか?俺話聞くくらいならできるけど。…あ、別に話したくないならいいからな!」


私の顔を見て、慌てたように手を振る同僚。


恋人が気付いたらセフレになってて、でもまだ好きだから諦められないの〜。


…なんて、どうやって説明すればいいのだろうか。人の恋愛沙汰なんて1番面倒くさい相談事だし、さらに内容が内容だ。同僚、しかも男に打ち明けるには気が引ける。


けど、正直聞いてほしい気持ちはあった。誰かに、この関係について何かを言って欲しかった。


「…あの、結構面倒くさい内容なんだけどね?」
「おう」
「私、付き合おうって言ったわけじゃないんだけど、彼氏だと思ってた人がいるのよ」
「思ってた?」
「そう。今はなんか…その、セフレみたいになってるっていうか、都合のいい女になってるというか…」


一日中ほぼギャンブルに行っていることや、今日の朝お金をせがまれたことなどを話した。すると、案の定同僚の顔がムッと中心に寄る。


「なんだそれ…そいつクソだな」
「……やっぱ、そう思う?」
「思う。そんな関係、早く辞めるべきだろ」


スッパリと切り捨てるように言われ、それができたら簡単なんだけどねぇ…とため息をついた。


「それはまだソイツのこと好きだからなのか?」
「分かんないけど…多分そうだと思う。前よりかは気持ちが薄れたことは間違いないけど」
「んー…じゃあ、お前はその関係を辞めたいのか?離れたいって思うのか?」


帝統と離れる。


ちゃんと考えたことがあったようで、実はなかったかもしれない。いつも、自分の気持ちと向き合うことで精一杯だったから。


帝統のことは好きなんだろう。でも、この関係に何の意味があるのか?帝統にとってはいいことづくめなのかもしれない。でも私は?私はいつまで経っても帝統に本当に愛されることはなく、ただ利用され続けるだけなのか?それは、幸せだと言えるのか?


「……やめたい、と、思う。…けど」
「けど?」
「好きって気持ちが…簡単に無くなってくれない」
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